大学職員の採用試験において、市場規模を把握しておくことは欠かせません。今回は大学職員数の推移、大学数の推移をまとめました。ぜひ面接や選考課題の参考にしてみてください。なお、今回のデータは学校基本調査をベースに作成しています。
大学法人数の推移
上図は1950年から2021年までの設置大学数の推移を表しています。特出すべき点は以下の3点でしょう。
- 大学数はここまで上昇傾向にある。(少子化に関わらない)
- 国立大学の数はほとんど変わらない。
- 公立大学数は3〜4倍に増えている。
1の大学数が上昇傾向にあるのを大きく牽引しているのは、私立大学数の増加です。2010年以降、全体の大学数の上昇ペースが少し緩みましたが、それでも数は増え続けています。少子化なのになぜ大学は増え続けているのでしょうか?
理由は明確、18歳の大学進学率は上昇しているからです。特に女性の大学進学者数増には目覚ましいものがあります。現在では男性の約60%、女性の約50%が大学に進学します。
ただし、大学業界にとってのこの増加ボーナスも長くは続かないと言われています。大学進学者数の増加はいつかは頭打ちになり、少子化による減少傾向へと飲み込まれることになるのです。早ければ2025年から大学進学者数は下降傾向に入ることが見込まれています。これは大学業界が斜陽産業と言われる最も大きな要因の一つです。
2の国立大学数はどうでしょう。ほとんど変わらないのには明確なワケがあるのでしょうか。残念ながら公的に発表されている資料が見当たらなかったので、以下筆者の推測です。
国立大学は戦後、全国に高等教育機関として学術の拠点となるよう、各都道府県に満遍なく配置されました。国立大の筆頭は旧帝国大学でしたが、それ以外の大学も、各地方で有力な人材の輩出に大きく貢献しています。国家の教育施策として設置された国立大学ですが、現在はすでに学びの拠点として全国に十分に配置されたという判断なのかもしれません。
そして今後は国立大学の統合が進むことになると言われています。国立大学の数は減ることはあっても増えることはないかもしれません。
3の公立大学数が増えている状況は国立大学とは相反します。原因は私立大学の公立化です。都道府県や市区町村が大学を保有する動きが活発化しているのです。この理由も複数あるのでしょうが、よくあるのは経営難からの公立化ですね。私立大学で魅力的な設備、教育、教員を保持しているにも関わらず、地方にあるために志願者が集まらないことがあります。こういった行政が所有する価値のある大学は公立化される動きがあります。実際、行政の立場としても、一から大学を作るよりはすでにある私立大学を手に入れた方が早いのでしょう。
大学職員数の推移
大学の法人数が増えているのだから、当然職員数も増えています。2021年時点だと、全国で25万人近くの大学職員がいるようです。改めて見ると人数の多さに驚きます。
また、大学法人が増えていない国立大学でも職員の数は増加していますが、これは国際系職員の急増と大学規模の拡大の2点が挙げられるでしょう。
国際系の職員は今多くの大学で求められています。大学も海外からの留学生が多く溢れるようになったからです。2000年代までは日本人ばかりの大学も多かったのですが、今はどこも留学生の定員を引き上げています。海外からのニーズがあるだけでなく、国内生だけの募集ではいずれ立ち行かなくなることが分かっているからですね。
大学規模の拡張は、単純に定員が増えていたり、キャンパスが増えたりしているからです。学生数が増えればそれだけ窓口は必要になりますし、キャンパスが増えるのであれば尚更です。
都道府県別の大学職員数と性別比
最後は都道府県別の大学職員数です。まず圧倒的に東京都の職員数が多いことが目立ちます。そのほかも愛知や大阪、福岡などの大都市でも職員が多くいます。これは大学数と比例するといって問題ないでしょう。もし大学職員を目指す場合は、東京都の大学も視野に入れるとチャンスも増えることになります。
一方で男女比ですが、どこの都道府県を切り取っても大体女性の方が多いです。
比率は【男性:女性=3:7】くらいです。
そもそも教育業界自体女性の方が多いのですが、大学職員はその傾向が特に顕著です。当然、採用に性別が関係するようなことはないですが、参考までに抑えておきましょう。