システムエンジニアが大学職員を知ったきっかけ
私は元々システムエンジニア(SE)として民間企業で働いていました。
IT業界に飛び込んだ当初は新しい技術やシステムの仕組みにワクワクしていましたが、次第に長時間労働や終わらない残業に疲れ果てる日々が続きました。
月末になると毎回のように45時間を超える残業が発生し、心身ともに消耗していくのを感じていました。
そんなある日、何気なく転職サイトを見ていると、「大学職員募集」の求人が目に飛び込んできました。
それまで大学職員になりたいと思ったことは一度もありませんでしたが、求人票には、
- 年間休日120日以上
- 福利厚生充実
- 残業少なめ
といった文言が並んでおり、SE時代からは考えられないような働き方ができそうだと感じ、興味を持つようになりました。
大学職員の採用試験
大学職員への転職を決意し、さっそくいくつかの大学に応募しました。
大学によって採用試験の方法はさまざまで、筆記試験があるところとないところがありました。
私が受けた大学の多くは、
- 書類選考
- 個別面接
がメインで、特に中途採用だからか集団面接やグループディスカッションがほとんどないことが多かったです。
面接では、
- なぜ大学職員を目指すのか
- どんなスキルが生かせるのか
- 学生や教職員とどう関わっていきたいか
を中心に聞かれました。
個別面接が中心だったことで、自分の考えや経験をしっかり伝えられる場になったのは良かったと思っています。
応募した大学数
正直な話、最初は「どこの大学も大差ないだろう」と思い、手当たり次第で15校程度に応募しました。
しかし、書類選考の通過率はかなり低く、特に最初の10校はすべて不合格。
予想以上の狭き門で、やはり人気職種なのだと実感しました。
その後も書類選考で落ちることが多く、最終的に2校の最終選考に進むことができました。
ですが内定をもらえたのは1校だけ。
競争率の高さに驚くと同時に、その一枠を勝ち取った喜びはひとしおでした。
SE経験によって転職活動で得した話
システムエンジニア時代の経験は、大学職員への転職活動でも大きな武器になりました。
大学職員の中にはITに強い人が少ないため、
「システムのことはよく分からない」という方が多い印象でした。
私は面接で次のようなことを話しました。
「情報システム管理やネットワーク構築の経験があり、トラブル発生時は自分で原因を切り分けて対応できます」
「例えばポータルサイトの障害対応が必要な場合なら、システムのアクセスログを解析し不正アクセスを発見、外注せずに内製で迅速に対応策を即時提案できます」
すると、SEの世界では当たり前のことでも、大学側からは「そんなことができる人は社内にいない」非常に高く評価されました。
また緊急業務を内製で自己完結できる人材は喉から手が出るほど欲しいといった様子でした。
転職活動で苦労した話
一方で、苦労した点もたくさんありました。
- 大学業界特有の専門用語(「アドミッションポリシー」「カリキュラムポリシー」)を知らず、面接前に慌てて調べることがしばしば。
- 「進研アド」や「大学通信」などの業界企業についても知識がなく、業界研究にかなり時間を割きました。
さらに、私は理系出身だったため、
文系・体育系・芸術系学部の特徴や学生支援の違いについても知識ゼロ。
落ちてしまった大学の面接ですが、
「うちは芸術系の学生が多いですが、どんなサポートができると思いますか?」
といった質問に対し、うまく答えられず苦労したのを覚えています。今思えば準備不足だったと反省しています。
実際に大学職員になってみて良かったこと
実際に大学職員として働き始めて真っ先に感じたのは、残業が圧倒的に減ったことです。SE時代は月45時間超も珍しくなかったのが、今の職場では月平均15~20時間程度。仕事終わりに自分の時間を持てる生活に戻れたのは本当に大きな変化でした。
また、営業ノルマや数字に追われることがなく、精神的にもかなり楽になりました。
もちろん業務の責任はありますが、ミスをしてもすぐに誰かに迷惑がかかるプレッシャーが少なく、落ち着いて仕事に取り組めています。
具体的な業務内容
私が配属された部署では、学内のシステム全般を管理しています。
具体的には、
- 学生募集や教務関連の大型システム
- 教職員用のサーバー管理
- ネットワークの維持管理
など、多岐にわたる業務があります。
また、
- 「インターネットがつながらない」
- 「Teamsに入れない」
- 「パソコンが壊れた」
といった問い合わせにも対応。
民間企業でいう総務や情シスの仕事に近い部分も多いです。
システムエラー発生時は、私たちの部署が一次対応を担当しています。
ちなみに、職員数約200名に対し、システム管理担当はたった3名。
少人数で幅広い業務を回しているため忙しい日もありますが、自分のスキルが直接役立つ実感があり、やりがいを感じています。
想像と違ったこと
私は、大学職員の職場は穏やかで人間関係も良いものだと思い込んでいました。
しかし実際は、
「人間性重視」の職場という印象が強く、
人の足を引っ張る・陰口を言う「やばい人」が想像以上に多いと感じました。
特に「お局様」と呼ばれる存在に目を付けられると苦労しがちです。
ただ、優しい人も多いので、敵を作らずうまくやる能力は必須。
やばそうな人には早めに距離を取るか、逆に味方につける工夫も必要です。
また、意外に体育会系な雰囲気もあり、
教授との飲み会や職員同士のコミュニケーションが重要視されています。
最初は戸惑いましたが、文化に慣れてしまえばあまり苦労しないと感じました。
まとめ
システムエンジニアから大学職員への転職は、
想像以上に厳しく、業界知識のキャッチアップや人間関係の構築に苦労もありました。
しかし、
- ITスキルは確実に評価される
- 残業やノルマのない働きやすさ
は、大きな魅力です。
これから転職を考えている方は、
大学業界ならではの用語や文化を早めにキャッチアップし、
SE時代の強みをしっかりアピールすることをおすすめします。